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feelcode  DATAGLASS PROJECT 2006

現在インターネットやモバイルフォンの普及によって電子情報空間が急速に広がっています。また、近い将来には、ユビキタスコンピューティング技術の浸透によって、さらに、目に見えない電子情報空間が私達の日常空間を覆うことになることが予想されます。この研究(実験的作品)では、人が現実に存在する実空間と不可視の電子情報空間を融合するためのシステムの構築と、その体験の質の研究を目的としています。

体験者は、島津製作所製の小型半透過型HMD(DATA GLASS 2)と小型PC(VAIO U)を装着し、大学附属博物館内に構築された、約25平方メートル(5mX5m)、高さ2,8mの暗い空間に入る、その中心には、直方体(H0,8m/W0,8m/L3,6m)の構造物が設置され、その中心におよそ0,8㎥(H1m/W0,8m/L1m)のセンサーエリアを持った特設空間があり、体験者は対面してこの空間に触れることができます。またその光景を他の人が見れる状態でもあります。センサーエリアは、水平方向と垂直方向のカメラによって捉えられた手と腕の位置と数を画像認識プログラムによって解析され、それらの情報は別のPCに送られます、そこで送られてきた手の数と位置情報を相対的な手の移動情報として捕らえ、その情報を基に、予め準備された映像を体験者のHMDに送り返されます。(画像認識プログラムは、京都大学 学術情報メディアセンター中村研究室の協力による)映像は、記憶を想起させる日常的なささいな所作を数十秒の映像として42種類用意した。これらの映像は、黒バックによって撮影され、半透過型HMD装着者には自身の手や対面する相手の姿と重ねて見ることができるようになっています。また二人は同じ映像を同時に見ることになります。センサーエリアの机上には、天井から照射された緑色レーザーポインタが直径70㎝の円周を移動し人の手の移動を誘導します。
空間の位置情報ではなく相対的運動情報の取得によるインタラクションは、体験者に捕らえ所の無さを与えることも多く、ある程度の説明を必要とすることがあり、自然な環境体験を遅らせることが多くみられました。特別な空間で、なれない体験を強いることになる体験型のメディアアートインスタレーションでは、よく見られることではありますが、HMDとPCの装着、なにも無い空間で手を動かすこと、緑色レーザーポインタの円運動、時折あらわれる短い映像、場合によっては対面に別の体験者等、体験者に違和感を与えやすく、諸要素の調整と融合が必要でありました。

また、所作と映像と記憶の関係についてのさらなる研究が必要であり、複合現実空間を介したコミュニケーションの可能性の探究が必要とされます。システム及び機器の限界(HMDの装着感、映像の画質の制限画像解析の制限等)がありつつも、体験者にとって文字通り手探りではありましたが、不可視の情報空間に参入することができたことは有意義でした。特に、HMD装着者どうしの複合現実空間を介してのコミュニケーションのあり方については、特別な所作を通したことによる、コミュニケーションの変容を予感させるものがあり(同じ環境を共有し、両者の距離が無くなりながら互いに触れることが無い)興味深い研究領域の発見となりました。

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日時 : 9月27(水)〜10月1日(日) 期間中入場者:約200名
場所 : 京都嵯峨芸術大学附属博物館
制作 : 京都嵯峨芸術大学芸術学部メディア・アート松本研究室
協力 :

京都大学 学術情報メディアセンター中村研究室
(株)島津製作所 航空機器事業部

TRANSLABO (Art Work Group)
京都嵯峨芸術大学芸術学部メディアアート分野

主催 : 京都嵯峨芸術大学