来田猛

かたちたち インクジェットプリント、木、ガラス

木で作られた造形作品をストレートに写した写真作品。
これらは80歳を過ぎた一人の老人の手によって、木の塊から磨き出されただけのシンプルな造形物です。
美術作品としてではなく、老人の趣味として制作されたものですが、これらはどことなく不思議で有機的な存在で満ちています。
これは、日本的な美意識でもある「見立て」と通ずる感覚ですが、造形する彼の”意図の目”が、ただの木の塊にそのような生命力を与えたように思いました。
彼にとって特別な何かをその木の塊に見つける。「磨く」とは、その何かに近づけるための作業でした。そうやって産み出されたかたちには、それぞれ特有の個性があり、無意識に作者の人間性を表現しているようにも感じます。